トラックなどの貨物車両を運転するうえで、過積載は絶対に避けなければならない行為です。法律で厳しく定められているだけでなく、ドライバー自身や周囲の安全を脅かす原因にもなります。そこで本記事では、過積載の基本的な仕組みと危険性、そして日常業務の中で実践できる防止策について紹介します。
過積載とは?安全運転のために知っておきたい基本知識
ここでは、過積載の概要と安全運転のために知っておきたい基本について紹介します。過積載は、運送業に関わるすべての人にとって避けなければならない行為です。まずは、過積載の意味と注意点をしっかり理解しておきましょう。
過積載とは何かを理解しよう
過積載とは、道路運送車両法で定められた最大積載量を超えて荷物を運ぶことです。トラックに積める重さには上限があり、それを超えて走行すると罰則の対象になります。過積載の状態では車体のバランスが崩れ、ブレーキが効きにくくなるなど、ドライバーや周囲の安全に大きな危険を及ぼします。荷主も責任を問われるため、運送に関わる全員が積載量を守る意識を持つことが大切です。
過積載にならない範囲を把握しておこう
過積載を防ぐには、車両ごとの最大積載量を把握しておく必要があります。小型トラック(2〜3トン)は3.0トン以内、中型トラック(4トン)は3.0〜6.5トン、大型トラック(10トン)は6.5トン以上が目安です。ダンプカーの場合はメーカーや車種により異なり、小型で約2.0トン、中型で約3.5トン、大型で約9トン程度とされています。車検証やメーカーの仕様を確認し、正しい積載量で安全に運行しましょう。
過積載が引き起こす危険とは?知っておきたいリスク
ここでは、過積載によって起こり得る危険性について紹介します。トラックなどの貨物車両に決められた以上の荷物を積む行為は、法律で禁止されているだけでなく、運転者自身や周囲の安全を脅かす原因にもなります。日常の業務の中で見落とされがちな過積載の危険性を、具体的な例とともに見ていきましょう。
ブレーキが効きにくくなり事故の危険が高まる
過積載の状態で走行すると、ブレーキを踏んでから車が止まるまでの距離(制動距離)が長くなります。荷物の重さによって進行方向にかかる力が強くなるため、通常よりも止まりにくくなるのです。最大積載量を超えたトラックでは、わずかなブレーキの遅れが重大事故につながる可能性があります。特に交通量の多い道路や信号付近では、制動距離の長さが命取りになることもあり、非常に危険です。
スピードの制御が難しくなるリスク
過積載状態では、車両の重さが増すことで運動エネルギーが大きくなり、スピードの制御が難しくなります。特に下り坂では、ブレーキを踏んでも減速しにくく、制御不能に陥ることもあるでしょう。また、ブレーキに負荷がかかり続けることで、熱によって効きが悪くなる「フェード現象」を引き起こすこともあります。スピードをコントロールできなくなると、他の車両や歩行者を巻き込む大事故につながる恐れがあるため注意が必要です。
荷崩れによる二次被害の危険性
過積載をすると、荷台に無理な積み方をすることになり、走行中に荷崩れが起こるリスクが高まります。荷物が動いたり落下したりすると、道路に障害物ができて他の車両の走行を妨げるだけでなく、衝突事故を引き起こす可能性もあるでしょう。また、荷台や車体そのものに過剰な負担がかかり、損傷や故障を引き起こすこともあります。荷崩れによる事故は被害が大きくなりやすく、過積載が招く深刻な結果のひとつです。
過積載を防ぐためにできる基本の対策を3つ覚えておこう
ここでは、過積載を防止するための具体的な方法について紹介します。トラックなどの貨物車両で安全に走行するためには、積載量の管理が欠かせません。法律を守るだけでなく、ドライバーや周囲の安全を守るためにも、日頃からできる過積載対策をしっかり行うことが大切です。
自重計で積載量を正確に確認する
過積載を防ぐためには、出発前に自重計で積載量を測定することが重要です。自重計とは、荷台の下部に設置されている重さを測る装置で、積載量を数値で確認できます。トラックが出発する前に計測し、法定の最大積載量を超えていないかをチェックしましょう。さらに、計測結果と日付、車両番号を記録しておくことで、後から確認が必要になった際にも対応しやすくなります。
日常的に計測を行うことで、過積載の未然防止につながります。
目視で積載量を確認する方法を取り入れる
自重計がない場合でも、目視で積載量を確認する方法を導入することが可能です。正確さでは劣りますが、コストがかからずすぐに実践できます。たとえば、土砂を積む際は荷台のすり切れいっぱいまで、アスファルトやコンクリートを積む場合は荷台枠から約20cm程度の盛り上がりまでといった基準を設けておくとよいでしょう。事前に自重計で実際の最大積載量を測定し、目視判断の基準を明確にしておけば、より安全に作業を進められます。
監督者を設けて積載チェックを徹底する
積み込み作業が終わった後に、過積載がないかを確認する監督者を配置するのも有効な方法です。作業が立て込んでいるときや時間に追われているときは、積載量の確認が後回しになりがちです。そこで、監督者を設けてチェックを行う体制を整えることで、過積載を未然に防げます。監督者が責任を持って確認を行えば、現場全体の意識も高まり、安全で効率的な運行が実現します。




